相続した『貸している不動産』の手続き完全ガイド|名義変更から家賃収入の扱いまで

「親が持っていたアパート、相続したけど…どうすれば?」
- 「親が遺した賃貸アパート(マンション・貸家)、相続することになったけど、何から手をつければいいんだろう?」
- 「入居者さんとの契約とか、家賃とか、どうなるの?」
- 「相続の手続きって、ただでさえ大変なのに、賃貸物件だとさらに複雑?」
- 「名義変更とか、税金とか、失敗しないか心配…」
- 「誰に相談すればいいのか分からない…」
ご親族が亡くなられ、アパートやマンション、貸家といった「賃貸不動産」を相続された方、特に大阪府北部のような都市部で不動産をお持ちだった場合、このような戸惑いや不安を感じる方は少なくありません。
ご自宅などの不動産相続とは違い、賃貸不動産には「入居者さんとの関係」や「賃貸経営の引き継ぎ」といった、特有の注意点があります。
今回は、そんな賃貸不動産を相続された方へ、やるべき手続きと押さえておくべきポイントを分かりやすく解説します。
貸している不動産の相続、ここが違う!
まず、賃貸不動産の相続が、自宅などの相続とどう違うのか、基本的な点を押さえておきましょう。
- 大家さんの立場も引き継ぐ
不動産の所有権だけでなく、入居者さんとの賃貸借契約(貸主としての地位)もそのまま引き継ぎます。契約を結び直す必要はありません。あなたは新しい大家さんになる、ということです。 - 家賃収入と管理義務が発生
家賃収入を受け取る権利と同時に、建物の修繕や入居者対応といった大家さんとしての責任も引き継ぎます。 - 相続税評価が少し違う
人に貸している不動産は、自分で使う不動産よりも相続税評価額が低くなる傾向があります(節税につながる可能性も)。
つまり、単なる不動産の相続ではなく、「賃貸経営を引き継ぐ」という側面があることを理解しておくことが大切です。
相続したらまずやるべきこと:①相続登記(名義変更)は義務です!
賃貸不動産を相続したら、真っ先に行うべきは「相続登記(不動産の名義変更)」です。
- 義務化されました(2024年4月~)
法律で、相続を知った日から3年以内の登記申請が義務付けられました。 - 怠ると過料も
正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります。 - どこで?
不動産の所在地を管轄する法務局(例:大阪法務局 北大阪支局など)に申請します。
相続登記は、あなたが新しい所有者であることを公的に証明する重要な手続きです。必要書類も多く複雑なため、早めに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。私たち行政書士も、登記に必要な戸籍収集や遺産分割協議書の作成などをサポートし、司法書士との連携でスムーズな申請をお手伝いできます。
大家さんの仕事を引き継ぐ:②契約内容の確認と管理体制
新しい大家さんとして、まず以下の点を確認・引き継ぎましょう。
- 賃貸借契約書を確認する
入居者さんごとの契約書(家賃、期間、敷金、特約など)を全て確認します。もし書類が見当たらなければ、管理会社や入居者さんに確認しましょう。 - 敷金を引き継ぐ
入居者さんから預かっている敷金は、あなたが引き継ぎ、退去時には返還する義務があります。 - 管理方法を確認する
親御さんが管理会社に任せていたのか、ご自身で管理していたのかを確認します。- 管理会社委託の場合:管理会社に連絡し、契約を引き継ぐ手続き(名義変更など)を行います。
- 自主管理の場合:ご自身で管理を続けるか、新たに管理会社を探すか検討します。入居者への連絡先変更なども必要です。
- 建物の状態・保険・ローンを確認
修繕履歴や今後の修繕計画、火災保険の契約内容、そしてローンが残っていないかは必ず確認しましょう。ローンがあれば返済義務も引き継ぎます。
これらの情報を整理し、不明な点は早めに確認することが、スムーズな経営引き継ぎの鍵です。
入居者さんへの連絡も忘れずに:③通知と家賃口座の変更
新しい大家さんが決まったら、入居者さんへ速やかに「貸主変更のお知らせ」をしましょう。
- 何を伝える?
旧貸主が亡くなったこと、新しい貸主(あなた)の氏名・連絡先、家賃の振込先が変わる場合は新しい口座情報、契約内容は変わらないこと、などを書面で通知するのが確実です。 - 家賃の振込先
親御さん名義の口座は凍結されている可能性が高いので、新しい振込先(あなた名義の口座など)を明確に伝えましょう。 - 丁寧な対応を
大家さんが変わることは、入居者さんにとっても不安なことです。問い合わせには丁寧に対応し、信頼関係を築きましょう。
お金のことも整理:④家賃収入の扱いと税金
家賃収入や税金についても整理が必要です。
- 相続開始「前」の家賃
亡くなる前に発生した家賃は、遺産の一部として相続人全員で分けます。 - 相続開始「後」〜遺産分割「前」の家賃
この期間の家賃は、法律上、各相続人が法定相続分に応じて受け取る権利があります(後で清算・分配することが多いです)。 - 遺産分割「後」の家賃
物件を相続したあなたの収入になります。 - 滞納家賃
いつの分の滞納かによって扱いが変わります。早めに状況を把握し、対応を検討しましょう。 - 相続税
賃貸物件は評価額が低くなる傾向がありますが、財産総額によっては相続税がかかります。申告・納付期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内です。計算が複雑なため、税理士への相談をおすすめします。 - 所得税
遺産分割後の家賃収入は、あなたの所得として確定申告が必要になる場合があります。
お金の扱いはトラブルになりやすい部分です。相続人間でしっかり話し合い、税金については専門家のアドバイスを受けましょう。
手続きに必要な主な書類リスト
- 不動産の登記事項証明書、権利証(あれば)
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本類、住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票
- 遺言書 または 遺産分割協議書
- 賃貸借契約書、管理委託契約書(あれば)
- 火災保険証券、ローン関連書類(あれば)
- 固定資産税納税通知書 など
これらの書類を早めに準備することで、手続きがスムーズに進みます。
複雑な手続き、「専門家」に相談しませんか?
賃貸不動産の相続は、通常の相続に加えて大家さんの仕事も引き継ぐため、やることが多く複雑です。「何から手をつければ…」「一人で全部やるのは不安…」と感じたら、無理せず専門家の力を借りましょう。
- 行政書士
相続手続きの最初の相談窓口として最適です。戸籍収集や遺産分割協議書の作成サポートなど、煩雑な書類作成や手続きを幅広くお手伝いします。他の専門家との連携も可能です。 - 司法書士
相続登記(名義変更)の専門家です。義務化された登記申請を確実に行います。 - 税理士
相続税の計算・申告、今後の所得税に関する相談に乗ってくれます。 - 不動産管理会社・弁護士など
賃貸経営の実務やトラブル対応の相談ができます。
私たち行政書士は、お客様のお話をじっくり伺い、必要な手続きを整理し、司法書士や税理士など他の専門家とも連携しながら、「丸ごと任せたい」というご要望にもしっかりお応えします。
当事務所では…
相続財産の中でも、不動産は扱いが難しく、どうすべきか悩まれる方が多くいらっしゃいます。
当事務所では、不動産業界での勤務経験を活かし、専門的な視点からもサポートいたします。
「売却したほうがよいのか、残すべきか」などの判断については、
売ることを前提とせず、ご家族にとって最善の形を一緒に考えることを大切にしています。
また、相続後の空き家や土地の管理・活用に関するご相談にも対応しております。
将来を見据えた整理・準備の一つとして、お気軽にご相談ください。
まとめ:早めの対応と専門家の活用で、安心の賃貸経営引き継ぎを
親御さんから受け継いだ大切な賃貸不動産。その相続手続きは、やるべきことが多く複雑ですが、一つ一つ手順を踏めば必ず乗り越えられます。重要なのは、早めに状況を把握し、必要な手続き(特に相続登記!)を期限内に行うこと、そして分からないことや不安なことは専門家に相談することです。
私たち行政書士が、皆様の円満な相続と、その後の安定した賃貸経営のスタートをしっかりとサポートさせていただきます。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。