戸籍集めは思ったより大変?相続手続きの第一歩『相続人調査』をスムーズに進めるコツ

「相続」が始まったけど…戸籍って、どうすれば?

  • 「親が亡くなった…相続手続き、まず何から始めればいいんだろう?」
  • 「相続には『戸籍』が必要と聞いたけど、どの戸籍を集めればいいの?」
  • 「本籍地が遠いし、昔の戸籍なんてどうやって取るの?」
  • 「自分で戸籍を集めるのは、なんだか大変そう…」

大切なご家族が亡くなられた後、避けて通れないのが相続の手続きです。その中でも、一番最初に行うべき重要なステップが「戸籍を集めて、誰が相続人なのかを確定させること」。普段あまり馴染みのない「戸籍」ですが、これが揃わないと、預貯金の解約も、不動産の名義変更も、何も進めることができません。

「戸籍集めなんて、すぐ終わるだろう」と思われがちですが、実はこれが意外と時間と手間のかかる作業なのです。今回は、相続手続きの要(かなめ)である戸籍収集の重要性と大変さ、そしてスムーズに進めるためのコツについて、分かりやすくお伝えします。

なぜ相続で「戸籍」がそんなに大切なの?

相続手続きでは、まず「誰が法的に財産を受け取る権利を持っているのか(=法定相続人)」を正確に特定しなければなりません。その**唯一の手がかりとなるのが「戸籍」**なのです。

戸籍には、

  • 誰と結婚し、誰が生まれたか(家族関係)
  • いつ、どこで生まれ、亡くなったか(身分事項)

といった情報が全て記録されています。これを亡くなった方の「出生から死亡まで」遡って全て集めることで、

  • 「子どもは何人いるのか?」
  • 「前に結婚していた時の子どもはいないか?」
  • 「認知している子どもはいないか?」
  • 「養子縁組はしていないか?」

といった、ご家族も知らないような事実も含めて、全ての相続人を正確に把握することができます。もし、一人でも相続人を見落としてしまうと、後々、遺産の分け方(遺産分割協議)が無効になったり、手続きをやり直したりする大きなトラブルになりかねません。

また、集めた戸籍謄本一式は、銀行での預金解約、保険金の請求、不動産の名義変更(相続登記)など、あらゆる相続手続きの場面で「相続人であることの証明」として提出を求められます。つまり、戸籍収集は、相続手続きを始めるための、そして無事に終えるための、まさに土台作りと言えるのです。

集める戸籍の種類は?「出生から死亡まで」ってどういうこと?

相続手続きで必要になるのは、主に以下の戸籍です。

亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の全ての戸籍謄本類

  • 亡くなった時点の戸籍(除籍謄本など)
  • それ以前の全ての戸籍(改製原戸籍、除籍謄本など)
    人は結婚や転籍(本籍地を移すこと)、法律の改正などで、生涯に何度も戸籍が新しく作られています。そのため、亡くなった方の全ての相続関係を確認するには、これらの戸籍を途切れることなく、生まれた時のものまで遡って全て集める必要があるのです。これが「出生から死亡まで」の意味です。

相続人全員の「現在の」戸籍謄本

配偶者、お子様など、現在ご存命の相続人全員の戸籍謄本も必要です。これにより、相続人が現在生きていること、亡くなった方との関係を証明します。

これら全てが揃って初めて、法的に相続関係が証明できる状態になります。

「戸籍集め、思ったより大変…」その理由は?

実際に戸籍集めを始めてみると、多くの方がその大変さに驚かれます。

  • 本籍地が遠い、何度も変わっている
    戸籍は本籍地の役所でしか発行されません。亡くなった方が転勤や結婚などで本籍地を何度も移していると、全国の役所に郵送などで請求する必要があり、時間も手間もかかります。
  • 古い戸籍が読めない!
    昔の戸籍は手書きで、旧字体や達筆な文字で書かれていることが多く、内容を読み解くのが非常に困難な場合があります。
  • 役所の手続きに時間がかかる
    郵送での請求は、申請書の準備、送付、役所での処理、返送まで、1つの役所あたり1~2週間かかることも。不備があればさらに時間がかかります。
  • 知らない相続人が見つかることも?
    戸籍を辿る中で、ご家族も知らなかった相続人が判明するケースも。もし見落とせば、後の手続きが全てやり直しになるリスクがあります。

こうした理由から、ご自身で完璧に戸籍を集めるのは、特に相続関係が複雑な場合や、お忙しい方にとっては、かなりの負担となるのが実情です。

少しでもスムーズに進めるためのコツは?

大変な戸籍集めですが、少しでも楽に進めるための工夫もあります。

「戸籍の広域交付制度」を活用する(2024年~)

ご自身や親子・祖父母など直系親族の戸籍であれば、マイナンバーカードなどを持参すれば、本籍地が遠くても近くの役所窓口でまとめて取得できるようになりました。これは非常に便利ですが、利用できる人の範囲に制限があり、郵送では利用できません。

役所に電話で事前相談

請求する前に役所に電話で「相続のために出生から死亡までの戸籍が欲しい」と伝えると、必要な書類や書き方を教えてくれることがあります。

請求書の書き方を工夫

「被相続人〇〇の出生から死亡までの一連の戸籍全部を請求します」のように具体的に書くと、役所側で意図を汲み取ってくれる場合があります。

面倒な戸籍収集、「専門家」に任せるという選択肢

「やっぱり自分でやるのは大変そう…」「時間がない」「正確に集められるか不安」

そんな時は、相続手続きの専門家である行政書士に戸籍収集を依頼するのも有効な方法です。

行政書士に依頼するメリット

  • 圧倒的な時間と手間の節約
    面倒な役所とのやり取りは全てお任せ。あなたは待っているだけでOKです。
  • 正確・確実に収集
    専門知識で必要な戸籍を漏れなく、スピーディーに集めます。古い戸籍の解読もお任せください。
  • 相続関係説明図も作成
    収集した戸籍をもとに、相続関係を分かりやすく図示した「相続関係説明図」の作成も依頼できます。これは後の手続きで役立ちます。
  • その後の手続きもスムーズに
    戸籍収集だけでなく、遺産分割協議書の作成や、銀行・不動産の名義変更サポートなど、相続手続き全体を「丸ごと」依頼することも可能です。

もちろん費用はかかりますが、「時間と安心を買う」と考えれば、大きなメリットがあると言えるでしょう。特に、不動産を多くお持ちの方や、相続人が多い方、相続関係が複雑な方には、専門家への依頼をおすすめします。

まとめ:相続の第一歩、戸籍収集は確実に

相続手続きの出発点となる戸籍収集。地味な作業に見えますが、その後の全ての手続きの基礎となる非常に重要なステップです。ご自身で進めることも可能ですが、予想以上に大変な場合も少なくありません。

もし戸籍集めに不安を感じたら、あるいは「面倒な手続きは専門家に任せたい」とお考えなら、ぜひ一度、私たち行政書士にご相談ください。お客様の負担を軽減し、スムーズで円満な相続手続きの実現を、専門家としてしっかりとサポートさせていただきます。

初回のご相談は無料です。秘密厳守で対応いたしますので、どうぞ安心してご連絡ください。

この記事を書いた人

片山雄斗のアバター 片山雄斗 行政書士

相続や遺言に関する不安を、法律と実務の両面からサポートする行政書士です。
ご家族の将来を見据え、「何から始めればいいのかわからない」という方のご相談にも丁寧に対応しています。